院試当日体験記(東京大学工学研究科航空宇宙専攻)

みなさん初めまして,mayudongと申します.この度東京大学航空宇宙専攻に合格できたので,自分の勉強方法と体験談少しでも東大航空宇宙専攻を目指す人の助けになったらいいと思って,ブログを始めました.

 

今回は当日体験談を書こうと思います,まず試験の概要について:

1日目はTOEFLITP(9:00~11:30)と数学(13:00~15:30).

数学に関しては,6問中3問選択の形式になっています,範囲は大体(微分方程式,線形代数,複素解析,微分積分,ラプラス変換,フーリエ変換と確率統計)の中から出題されます.

 

二日目は専門科目,午前の部(9:00~12:00)と午後の部(9:00~12:00)に分けています.

出題範囲として午前も午後もは流体力学(圧縮性流体,粘性流体,ポテンシャル流れ),固体力学(材料力学,弾性力学,連続体力学),航空システム学(古典制御,現代制御,軌道力学,航空力学,人工衛星の姿勢制御,ロケット工学),推進工学(工業熱力学,振動工学,伝熱工学)の4問中から3問選択です,つまり午前と午後合わせて8問中6問選択することになります.

 

三日目は口述試験,午前の部と午後の部に分けます.私みたいな外部生はほとんど午後の部です.

 

1日目

私が泊まっていたホテルは東京大学から15分ぐらい距離のところで,特に試験直前でなんかやるつもりないので7時半に起床しました.受験前の朝飯としてはなか卯でベーコン定食(ご飯大盛り,ベーコン一人前追加)を食べました.

 

8:45まで教室に入らないといけないのでとりあえず8:30には試験室前に着いた.そこから受験票を持っての入場になります.受験番号順としては(内部生,外部生,留学生)の順番になります,私は一応留学生なので番号は最後らへんになります.(ちなみに航空宇宙以外の専攻には留学生専用の入試あるらしく,一般入試より簡単のようです.)

 

英語

TOEFL ITPに関しては特に勉強はしていないです,理由としては他大学入試でTOEFL IBTとTOEIC勉強したからです.TOEFL ITPはどっちかというとTOEICには近い,TOEICで800点取れたからTOEFL ITPも大丈夫だろと信じていました.

 

TOEFL ITPはリスニング,文法,リーディング三つのセクションに分けて,それぞれの解答時間は35分,25分,55分になります,解答時間内に指定されたセクションしか解答できません,リーディングセクションの時間で文法セクションを見直す場合もカンニングになりますのでご注意ください.

 

リスニングは対話形式の問題と講義形式の問題があって,しっかり対策していれば難しくはないはずです.文法問題はTOEICと同じく4択問題でした,それ以外に間違い探しの問題もありました.リーディングに関してもアカデミックの文章が多かった,なんとか時間内では解き終えました.ちなみに私の隣に座っていたのが英語圏のイケメン留学生でめっちゃくちゃ早く解き終わって結構プレッシャー感じました.まだ点数開示されていないので詳しくはわからないが,出来としては7割から8割ぐらいでしょうか.

 

昼休み

昼休みで午後の数学に備えてしっかりエネルギー補充したいので,本郷キャンパスの向かい側にある中国人がやってる中華レストランで食べました,水餃子は美味しかったです.

食べ終えてから試験会場に戻って,今まで解いて間違った問題を一通り復習しました.

 

数学

数学に関しては私の作戦は,第5問のフーリエラプラス変換の問題と第1問の微分方程式を瞬殺してから,線形代数複素解析から簡単の問題を解く,と思っていたが.5問目のラプラス変換解いてみると,最初の小問から積分ができない,15分ぐらい粘ってたが,これはあかんと思って速攻第一問の微分方程式に戻った,小問1は定数変化法の問題で計算がややこしかったがとりあえず答えまで出して,小問2は置換積分して瞬殺,小問3は解き方忘れたので速攻飛ばした.問題用紙をめくり,とりあえず第四問の微分積分は曲率みたいなものが出て,これは完答できないと思って第二問の線形代数と第三問の複素解析を解くことにした.第二問は線形代数特性方程式固有値の問題で,特性方程式絡みの問題は簡単でしたが,固有値から最大最小値(問題はっきり覚えていないが)を求める問題はどうしてもできず諦めました.第三問の複素解析は割とオーソドックスで留数定理を使えば解ける問題だったけど,私が第三問を解き始めたのは試験時間残り30分ぐらいの時で,とりあえず証明省略で答えだけでも出そうとして頑張ったが,結局5割ぐらいしかできませんでした.

 

数学で2完するつもりだったが,結局のところ1完すらできませんでした,書いた割合的には第一問(6割),第二問(6割),第三問(5割)と言ったところでしょうか.専門科目で内部生に勝ち目がないので数学で頑張ろうとしたが,予想外の結果でした.(後でわかったことだけど,どうやら今年の数学は難化されてて,みんなのできが悪かったようです.)

 

帰宅後,できが悪かったのでとりあえず専門で取り返そうと思って,過去問でよくわかっていないところもう一度見直して,近年でよく出るツィオルコフスキーの式と大たわみ理論を復習しました.

 

二日目

1日目と同じ8時半ぐらいに試験会場について.専門科目に関しては,制御系の問題が出ない限り,システム学を解くつもりはなかった.試験前で,日本語と英語で試験に関する説明を受けて(どうやら留学生は英語の問題はもらえるようです),私の隣で座った人は全部英語で試験受けたようです.

 

専門科目(午前)

とりあえず問題冊子めくると,流体力学の問題はやっぱり圧縮性流体でした,与えられてる式を見ると,これは...プラントルマイヤー膨張波じゃないのか?簡単そうやけど完答はできなさそうと思って,飛ばしました.

 

二問目の固体力学は継手の引っ張り(?)問題でした,誘導もあって簡単そうなので,迷わずに手つけました,実際に解いてみると案外間違いやすい問題で,どちらかというと連続体力学っぽい問題でした.問題の流れとしては,フックの法則から微分方程式を解き,少し弾性力学の知識は必要だったが,ただの計算問題でおおよそ7割ぐらい解けました.

 

三問目のシステム学,今年は運よく現代制御論の問題(倒立振子)が出て,機械系出身の俺には十八番で,ラグランジュから運動方程式を作って,状態方程式から可観測性行列と可制御行列を出してそこから伝達関数など出して,安定性判別などなど,そこまで難しくはないが,運動方程式間違えたら全滅する問題でした.計算ミスなかったら出来としては8割といったところでしょうか.

 

四問目の推進工学は,今年ブレイトン再熱サイクルとジェットエンジンの問題でした.とりあえずブレイトン再熱サイクルの問題は瞬殺して,そこからジェットエンジンの問題に取り掛かったが,過去問で見たことあるような問題で解き方思い出そうとしたがなかなか思い出せず,推進の出来としては6割ぐらいでした.

 

昼休み

計算ミスなどを考慮すると専門科目(午前)全体の出来は6割5分ぐらいで,専門は8割取れないと落ちると聞いたので,つまり専門科目(午後)は9割以上取らないといけないことになった.とりあえずお腹空いたので午後の戦いに向けて美味しいもの食べようと思って,1日目と同じ中華レストランで辛いビーフンを注文しました,まさに本場の味でした.食い終えて,試験会場に戻って,とりあえず問題を予想して見た.私の予想は流体はポテンシャル流れ,固体力学は大たわみ理論,もしくは殻の膜理論の弾性力学の問題がでる,システム学は姿勢制御で,推進はいつも通りの振動工学でしょう.作戦としては,流体と振動工学完答で,固体力学8割ぐらいとれば9割はいくでしょう.

 

専門科目(午後)

一問目は予想と違って粘性流体の問題でした.平板間の斜め流れの問題,四力精選で見たことあるような問題で,ナビエストークスの方程式を作って瞬殺しました.

 

二問目はサンドイッチはりの問題で,これはラッキーと思ってすぐに解き始めました,思ったより難しくて完答はできませんでした.最初の小問二つは断面二次モーメントと剛性を求める問題で瞬殺したが,3問目からは熱応力加えて,バイメタル(?)の問題になりました,とりあえず合ってるかわからないが思いついた方法で解いて解答用紙を埋めました.

 

三問目は軌道力学の問題で,1秒で飛ばしました,独学で少し勉強しましたが完答できる自信はなかったです.(後ではわかったけどどうやらこの問題は一番簡単でした).

 

四問目は振動工学で吸振器の問題でした,機械系出身の私には敵ではなかったようです.

 

2完したけど固体力学の問題は6割ぐらいしか解けず,落ちたなと思いながらホテルに帰りました.

 

とりあえず筆記試験は全部終わったので,同じ日に東工大(機械系)試験終わった友達と歌舞伎町で焼肉を食べました.

 

三日目

口述試験は午後なので昼10時ぐらいに起きて,ゆっくり支度してホテルからチェックアウトしました.口述試験は原則として外部生全員スーツだけど,留学生はみんな私服で行ってると聞いて私服で行きましたが,実際に会場にいた留学生は私と私の隣の英語圏の留学生以外全員スーツでした.二人だけ浮いてました.

 

口述試験

基本的に口述試験は学生一人対教授三人.噂によると口述試験までに筆記試験の点数はすでに出て,合格する人と合格しない人の質問は違うようです.(本当かどうかわかりません)

聞かれた質問は「なぜ航空宇宙専攻を志望しました?」,「今の大学でどんな研究してますか?」,「筆記試験の感想を言ってください」,「修士でた後どうします?」の四つでした.口述試験は合否に影響するかどうかはわからないが,受け答えができたら大丈夫だと思います.

 

これで東京大学工学研究科航空宇宙専攻の三日間合計11時間の院試が終わりました.絶対に落ちたと思ったが一週間に合格発表で自分の番号があったので,自分が思っていたよりできていたかもしれないのでこの体験記を書かせていただきました.

 

これからのブログで自分が受けた院試(東大航空宇宙および京大機械工学群)に関する勉強方法,また,東大航空宇宙専攻(JAXA)での生活を発信していきたいと思います.

 

ちなみに,今年9月入学以外に合格した外部生は6人しかいないようです,強い意志と明確にやりたいことがなく,ただ単に東大生の肩書きが欲しい人にはオススメできる専攻ではありません.